カモン,七難八苦! ――『まんがタイムきららミラク(2013-07)』感想
この石を手にした者は,魔女と戦う使命を課されるんだ
――『魔法少女まどか☆マギカ』
表紙は,はりかも『夜森の国のソラニ』.めくってみたい
しかし,結局隔号連載のメリットってなんだろうか.リスクの分散? 漫画家の負担の軽減?
混沌を望み、世界の支配構造を破壊する者 ――石井あゆみ『信長協奏曲(1-8)』感想
初めて撮った練習の日のビデオなんて、結構転んだりしちゃってて……
絶対に……絶対に誰にも見られたくなかった中学の時からはいているパンツも映っちゃってるし……
――『ラブライブ!』
戦国時代にタイムスリップしたマイペースな高校生・サブロー.その彼が,病弱な「本物の織田信長」の代わりに「織田信長」として天下を取る,というストーリーの熱くて面白い歴史異聞漫画.歴史物の常としてネタバレが徘徊しているので,もしタイトルだけ聞いて読もうと思ったのなら「続きを読む」は押さないほうがいいかも.
この漫画の一つのアクセントが,「サブロー自身が歴史を殆ど知らない」という点にある.何しろ彼は「秀吉」や「徳川家康」と言った有名な名前こそ知っているものの,例えば「本能寺の変」において信長が誰に殺されるか,は知らない.タイムスリップもののアドバンテージを放り投げてしまっている.しかも彼はただの高校生なので,別段戦う術や政治,調略なども長けているわけではない.
ならばなぜそんな彼が信長としてやっていけるのか.それは,わたし達が知っている「織田信長」という人物の「奔放な面」を,元現代高校生たる彼が表しているからだ.高々一地方の小大名にすぎない若造が「天下」を唱える,そんなのは当然その時代の真っ当な人間にできようがない.それを(無自覚に)やってのけるサブローは,とにかく(無自覚に)清濁を併せ呑むのだ.
無自覚に.アンジャッシュ的な勘違いの連鎖が,人を惑わし,国を動かし,歴史を変える.「桶屋が儲かる」やバタフライ効果が面白い理由は,スタートとゴールの落差,一見した不連続を見事に繋いでみせる一貫した論理性に求められる.サブローの無知と怖いもの知らずさが,歴史のピースをうまい具合にはめ込んでいくさまに,草原を吹く風のような哀愁をまとった爽やかさを感じずにはいられない.
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