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君は必ず舞い戻る! ――『地球防衛軍4』感想

地球防衛軍4』(Xbox 360, Pub.:ディースリー・パブリッシャー, Dev.:サンドロット, 2013年)プレイ時間:450時間 実績:515/1000 武器取得率:98% 出撃回数(オフ/オン):315/2275 DLC3種購入済み

 EDF以外になりたかったものなんてねえよ!
    ――『EARTH DEFENSE FORCE: INSECT ARMAGEDDON』

 前作『地球防衛軍3』から8年.伝説の英雄こと「ストームリーダー」が宇宙人侵略者(フォーリナー)の親玉であるマザーシップを破壊し,平和を取り戻したはずの地球.そこに,かつて殲滅しきったはずの巨大な黒アリが現れたときに,地球防衛軍――Earth Defence Force――は再び動き出す.8年前と同じようには行かないということを,フォーリナー共に思い知らせてやる時間だ! ……そんなB級風味にバカゲーテイストと打ち震えるほどの熱さを組み込んだミッション制TPS.

 敵は巨大な昆虫や銀色が嫌に眩しいロボットたちの大群.そいつらを,様々な銃器や乗り物,超兵器を駆使して倒す.基本的に勝利条件は「敵を全滅させる」といたくシンプルであり,かつEDF隊員が取れる操作自体はそんなに多くない.成長要素も敵がドロップするアーマー(ライフ上限アップ)と武器くらいゆえに,「武器」「ライフ」「テクニック(=戦術)」そして「戦略」を縦横無尽に活用するトライアンドエラー構造がゲーム性の基軸となる.

 SIMPLE2000シリーズの頃からやることは変わってない.「俺 vs. 敵の大群」に処理落ちに無線.敵を倒して武器やアーマーを手に入れ,自分の腕前を上げ,作戦を見直した上で得た勝利の味はやみつきになる.そして何よりも念願のCO-OPが導入されたことにより,その戦略性は無限に広がった.出会った隊員の装備を見た上で作戦を理解・構築し,それが見事にハマった時の共闘感は一入である.

ゲームシステム

 死んで覚えろというゲーム.ただし難易度は5段階から選べ,1ステージが短いために試行錯誤もしやすい.兵科もオーソドックスな「レンジャー」,空を自由に飛べる「ウイングダイバー」,空爆支援やビークル要請が異彩を放つ「エアレイダー」に二刀の切り込み隊長こと「フェンサー」といった,武器も特徴も大きく違う4種類.つまりミッション数が20倍に水増……「この戦いが終わったら結婚するんだ」なんてのは,縁起が悪いらしい.

 オフラインプレイではせいぜい2人同時プレイまでしかできない代わりに,敵が強くならない.オンラインプレイでは4人まで参加できるが,参加人数に応じて敵が強化される.ことHPの増加が3倍近くになるため,オフとオンでは必要な兵装がガラッと変わる.オフで無双できる武器はオンだと微妙どころか無駄に敵を散らすから不要……なんてこともザラなため,また違った戦術・戦略を考えなおさなければならない点も面白い.

 戦略的な要素としては2つ.敵の行動パターンの見極め増援の把握がある.敵は「もともとこちらに向かって進んでくる(=アクティブ)」「近づくか攻撃されるかしない限り定位置付近を歩きまわる(ノンアクティブ)」の2種類があり,各ミッションによってどこにどちらの敵が配置されるか決まっている.前者は何してもこっちにくるので総力を持ってぶっ潰すことになるのだが,後者は放っておけば無害なので,こっそり端から敵を反応させて,近づいてきた敵をちまちま削り続けることが最もローリスクハイリターンの戦術となる.

 しかしミッションによっては対処の難しい敵がアクティブで湧くことがある.その場合,事前に増援位置に罠を仕掛けておき,出現した瞬間にまとめて殲滅する戦略が大きな効果を上げる.それ故に,増援位置と敵の種類を知っておくことは,プレイヤーのエイムスキルや操作難易度といった戦術的な負担を大きく低減することになる.何より心の準備があるとないとでは神経にかかる負荷が段違いだしね!

戦闘

兵科 特徴 長所 欠点
レンジャー 良くも悪くもオーソドックス 所持武器は2つ 対空や狙撃が安定しているので,火力がコンスタントに見込める エアレイダーと同じくビークルを運転可能 移動力が4兵科中最低
ウイングダイバー 空を飛べるが,移動と攻撃に共用のエネルギーゲージを使う 所持武器は2つ 囮をはじめとした飛行能力による戦術・戦略の広さ 近距離での高い火力 長距離超火力の「槍」の存在 エネルギー管理に慣れが必要 狙撃能力は低め
エアレイダー 数々の支援兵器のため,戦略的になんでもできる 所持武器は2つ+ビークル1つ ビークルの戦闘力は高い 特にオンラインマルチではひとりいると重宝される その性質上,ミッションの内容や仲間の装備,戦略を理解している必要がある 支援要請に必要な功績ポイントは敵の撃破によってのみ貯まるため,単独での戦闘力が低いエアレイダーは状況によっては容易に詰む
フェンサー 武器を2組装備できる上に移動力が4兵科中最高であり,戦術的になんでもできる 所持武器は2つ+2つ 盾の存在と高アーマー 高起動による囮や引き撃ち 操作が特殊であり,習熟が必要 照準・移動共に常に慣性が働き,小回りが効かない

 この中で,レンジャーだけは「EDF1」からほとんど変わっていない(どころかむしろ弱化している).オフラインプレイでの想定であれば,確かに武器のダメージ数値を弄る必要は殆どない.しかし敵が劇的に強化される高難度オンライン4人プレイでは火力も手数も足りがちで,かつ移動速度が足りないために,ほんの少しのミスで囲まれてライフが0になり床と泥と辛酸とを舐めることになる.味方による前線が崩され大量の蟻や蜘蛛がこちらに向かってくるのを見た時には既に,遅い.腕も足も爆発物もないレンジャーは飲み込まれる以外の道はないのだ.レンジャーオンソロ廃都ってどうやるんだろうね.

 それに対して,ウイングダイバーとフェンサーはそのような状況をひっくり返すだけの機動力と攻撃力を兼ね備えている.そこに混ざれないエアレイダーは,ビークルや種々の支援を用いることで事前に大量の敵を潰しておくことも可能である.レンジャーの爆発物は威力がオフライン調整のため軒並み低く一石二鳥は見込めない.それどころか敵を爆発によって散らすことで囲まれる危険性を増すことにもなる.ここは調整不足と残念に思う.

 また,高難易度における敵の強化は,あくまで敵自身のパラメータを弄ることのみによって成されている.つまり,難易度を上げると敵の出現数が増える……なんてことはなく,ミッションの構成そのままに単純に敵が強くなるだけなのだ.このおかげで低難易度における戦略を高難易度にも持ち込む事ができるとは考えられるが,正直に言ってこのざっくばらんな調整ではなく,敵数を増やしてパラメータを控えめにすればレンジャーがもっと輝けたのかもしれないと感じずにはいられない.今までずっとその方式なので今更だけど.

グラフィック

 ものすごい頑張ってる.中でも建造物は,ビル街やら商店街やらは細かい部分まできちんと作りこまれており,爆発物で壊すのがもったいなく感じるほど.……そのせいでロード時間が長くなってる気もするけど,あんまり気にしないようにする.また武器の造形も最上位武器で大きく変更されたりして見ているだけでも楽しい.

 ただしその代償かどうかは知らないが,いつもどおり処理落ちが激しい.ビル街をロケランで誤って撃ってしまったりすると一瞬カクつく.もし全員がM30プラランをビル街で違う方向にぶっぱなし続けたらどうなるのかとか興味あります.

シナリオ

 ええっとほら,スタンスがバカゲーだからあんまりそういうのは気にしない方が…….とはいえ,過去作で顕著だった「本部の罠*1」や「鬼畜本部*2」ってのは最早物足りないレベルにまで目に見えて減ってる.その意味で,DLC2では歓喜しました.

 本筋であるストーリーはそれを求めるゲームではないってことでおいておくとして,それを彩るキャラクターたちの無線やNPCの会話内容は非常に素晴らしい.とりわけ我々EDF隊員と同じ立場である他のNPC隊員たちの会話は,見事に共闘感を煽り*3,プレイヤーのテンションを上げ*4,そして絶望の淵に叩き落とす*5

音楽

 ええっとあの,爆発音とか鳴き声とか無線とか「EDF!」とかであんまり意識して聞いてないんです…….ただし,ここぞという場面できちんと緊迫感を出しつつ盛り上げてくれるのはどのシリーズも同じで,その点に関してはよく印象に残ってる.優勢時に流れるBGMはまさに勇猛邁進という感じで,風を肩で切って進まんばかり.そしてそのあとで大量の増援が来て絶望とともにBGMが変わるところまでワンセット.

パッチ・DLC

 パッチに関しては8/21に1.03が出ており,ゲームバランスに直結した各種修正が施されているのでどうにかして当てておいたほうが良い.処理落ち軽減を筆頭に,武器ドロップ率上昇,敵が怯みやすくなるなどから,エアレイダーの一部支援兵器のリロード可能化や一部武器のダメージ変更までかなり細かい数値部分にまで修正が入っている.プラグレΣは忘れられていたが.

 DLCは今のところ(13/12/01)3種(¥500, ¥800, ¥800)のみだが,どれも武器などの追加はなく,高難易度の新ミッションを追加するのみ.更に通常のオンラインプレイと別の部屋にわざわざ行かなくてはならず,少々手間がかかる上に人があまりいない.特にDLC1の方は内容が微妙だったことに加えてこの別鯖仕様なので,オン野良4人は絶望的.ただしDLC2の方は数・質共にボリューム満載で,新たに強化された敵が存在し,かつ最効率の武器の稼ぎ場もあることから休日などには十分野良で4人プレイが可能であり,DLC3に至っては高難易度ってレベルじゃないほどの鬼畜ミッション揃いのため,しばらくは部屋が立ち続けるだろう.

マルチプレイ

 オフラインでは画面分割2人プレイができ,対戦かミッションを選べる.ミッションモードではオンラインと違って敵の強化がされないため,純粋に一人の時に比べて戦力が2倍に跳ね上がる.特に武器枠のキツいレンジャーはこれだけでクリア可能なミッションも大幅に増える.一応対戦もできるよ!

 オンラインでは最大4人まで参加することが可能.ただし敵の体力・攻撃力・移動速度・攻撃弾数・攻撃速度といった各種性能数値が参加人数に応じて強化され,4人プレイだと体力が3倍近くにまで膨れ上がることになる.それに伴いオフラインでは確殺を取れる便利な汎用武器の価値が低減,特にマルチロックミサイルなんてのは威力は足りないわ敵は散らすわ味方をふっ飛ばすわで,オフラインのように何も考えずに撃ってるだけだとキックを食らってしまうかもしれない.

 また,オンラインでは難易度によって武器レベルとAPの制限がある点が重要.例えばNORMALのミッション21では武器レベルが7以下のものしか装備することは許されない.武器レベル自体は各武器に(結構適当に)設定された値だが,ミッションの鍵となる武器がその制限のために持っていけないとなると難易度が跳ね上がる.とはいえ最高難易度のINFERNOではほぼその両制限は無いに等しいため,敵が弱い分拮抗した戦いになるとでも思っておこう.

 箱ではプレイ人数はそこまで少なくない.21時以降ならEASYからINFERNOまで様々な難易度の部屋が立っている.クイックマッチ機能もあるし,(寄生する気満々の部屋や2P放置オンラインプレイ部屋でもない限りは)程よい時間に部屋を立てれば誰かしらは入ってくれるだろう.わたしとか.

まとめ

○いつもどおりのEDF
○ようやく据え置きでオンラインプレイができるようになったよ! ……IA? 知らない子ですね
○兵科が4つに増えたので,戦略が大きく広がった
○町並みが綺麗.ズーム機能付きの武器を持って行くと,細かい小ネタも含めて堪能できる
○最終ミッションの盛り上がりが素晴らしい.これは3でも同じだったが,それを踏まえた上でのあの通信は胸が熱くなる
○武器レベル制限はその悪い意味での適当さゆえに,様々な武器を使うことができて楽しい
○1ステージが短いため,試行錯誤の中毒性がある
DLCの難易度が絶望的でまさにエキストラミッション
○今までのEDFになかったようなステージも多い.「高所狙撃戦」や「光の迷宮」は思わず膝を打った
○そして過去作へのオマージュもそこかしこに
○固定テキストチャットが存外に使いやすい.困ったら「EDF!」か「イヤッホー!」でOK

×いつもどおりのEDF
×Havok神を信仰したことにより,挙動がおかしい場面が多々ある.特に坂道でダウンした場合に転がり続け,止まるまで行動できないのは死にはしないが致命的
×ミッション開始前のロード時間の長さ
×レンジャーの弱化っぷり.緊急回避中に武器チェンジができなくなり,一部武器は反動まで追加される,更に3で猛威を振るったセントリーガンやリモコン爆弾を没収された
×メインミッション,DLC1,DLC2,DLC3すべて別々のサーバーであり,それらを移動するためにはいちいちタイトルに戻る必要があって煩わしい
×オンラインにおける対戦モードがない.あってもあまりバランスがいいとは思えないが……
×一部有用な武器が初回特典だったりする
×本部の罠が少ない
×オンラインでは挙動が結構不安定.同期ズレのため,いきなりダメージを受けたり不審な動きを見せたりするし,一部ミッションは回線に高負荷をかけるらしく,回線が切断されることがまれによくある
×糸や噛み付き攻撃が壁や床を乗り越えて飛んでくる.そのせいもあって,レタリウスの存在自体がストレス
×マップ自体はそこまで多くなく,それらを敵の配置を入れ替えただけの水増しミッションもそれなりにある
×「サンダー!」とか「空爆万歳だ!」とか「糸に巻かれて死ぬんだよ!」とか叫べないんですか!
×ウイングダイバーは一人だけ性別が女性のため,他の3種に比べてボイスが結構違って残念

 なんだかんだでいつもどおりのEDF.ただしグラフィックとHavokのせいか,かなり不安定に処理落ちを起こす.オンラインにおいては回線の相性次第で同期ズレがひどくなり,プレイする前に回線が切れることも*6.明らかなバグも特にアップデートがなく,正直SIMPLE2000の時と同じように割と作りが荒い.武器レベル制限や敵の数の調整も雑で,なんだかやる気があるのかないのかよくわからない.

 だが,それを補って余りある「オンラインCO-OP」の存在.全国のEDF隊員と共闘できる,それだけでこのゲームは素晴らしい.頼れる仲間に信じるは馴染んだ武器と自分の腕前,そこに絶望と希望を煽る通信が交じり合って気力は充溢.これ以上何を望むか.……だがロード時間とプラグレΣはなんとかしろです.あとピュアデコイランチャー使わせてください.

 あと,オフラインでやる分にはそれなりにバランスが取れてる.オフレンジャーを基準にしているっぽいので,他の兵科だとオーバーキルだったりするような気もするけど誤差の範囲,たぶん.でもせっかくプレイするなら,オンラインで世界の広さを知りたい.フェンサー1人でオン4人での金女王+銀大蜘蛛+銀蜘蛛多数+赤含むドラゴン多数を殲滅ってどうやればできるんだ!

地球防衛軍4

地球防衛軍4

EARTH DEFENSE FORCE: INSECT ARMAGEDDON

EARTH DEFENSE FORCE: INSECT ARMAGEDDON

*1:e.g.:逃げ場の少ない洞窟で開幕から既に全方位から敵が迫ってきており,オペレーターが『(敵の)罠です!』とかって抜かしたりとか

*2:e.g.:部隊が壊滅して撤退の許可を求める→本部「よく聞こえないぞ,繰り返せ!」→繰り返す→本部「くそっ,通信妨害か」

*3:8年前の,あの日のように

*4:奇跡を起こすつもりなら手を貸します!

*5:あいつらは戦い続ける気だ,人類を殺し尽くすまで!

*6:PS3版ではもっとひどかったが