『LOST ODYSSEY』感想

（Xbox 360，Pub:Microsoft，Dev:MISTWALKER，2007年）
プレイ時間：170時間（割と寝落ち）　実績：910/1100　1周（隠しボス2体残）

「280円でディスク4枚組という圧倒的なコストパフォーマンス！」

千年の時を生きる不死者，「カイム・アラゴナー」．しかしなぜかその千年分の記憶が無い彼が，近年起き始めた「魔導産業革命」によって戦争に文化に急変しつつある世界を，陰謀と欲望に運命を左右されながら黒幕を倒しに行く……というあらすじの純和製RPG
『ファイナルファンタジー』の生みの親である坂口博信，同シリーズを筆頭に様々な音楽を提供してきた植松伸夫に，キャラクターデザインとして『スラムダンク』や『バガボンド』の井上雄彦を起用，そしてゲーム内小説の執筆に重松清を呼ぶといった，メンバーの豪華さをアピールしたパッケージとなっている
系譜を継いでいるのか，とにかく奇跡と絆とムービーゲー．■厨は人生厨を笑えませんよ！

　ゲームシステム
「戦闘以外のストレスを無くしてやろう」という心意気が大いに伝わってくる，「ムービースキップ」「歩き移動と走る移動の切り替え」「全ての状況で，STARTボタンでポーズ可」「戦闘ではAボタン押しっぱなしで連続選択が可能」という仕様
また，合間合間にカイムの記憶を取り戻す，という名目で「千年の夢」という小説を読むことができ，これも世界に没入するために一役買っている
サブイベントも豊富で時限イベントが殆ど無く，「FF10」の飛空艇のように「フィールド探索」と「移動」が分離しているため，世界を探しまわる楽しみもあるのは嬉しい．さらにフィールドにあるオブジェクトは大半が調べることでアイテムを手に入れることが可能

　戦闘システム
基本的にはごく一般的なターン制RPGだが，特に面白い要素が「壁システム」と「行動待機時間」である
「壁システム」は「前衛のHPが多ければ多いほど後衛が狙われづらくなり，かつ後衛が受けるダメージを軽減できる」というルールであり，全体攻撃に対して大きな耐性を持つことが可能になる．……が，どちらかと言えば，後衛を攻撃対象に選ばせないほうが重要
その理由は「魔法詠唱中に攻撃を受けると詠唱時間が伸びてしまうため」であり，これを体系化したものが「行動待機時間」システムである．「スキル」「魔法」実行時には待機時間が生じ，強力なものは1ターン待ちとかザラ．そのため，魔法を常に詠唱しがちな後衛は狙われないことが肝要になる
状態異常が敵味方ともに強いため，「敵にどの状態異常が効くか」「敵がどんな状態異常をかけてくるか」を知ることで単純にかなりのアドバンテージになるのもポイント

　シナリオ・ムービー・音楽
シナリオは不満点が幾つか残るが，とりあえず奇跡と絆とムービーでゴリ押ししておけ的な感がある．その分ムービーには気合が入っている
音楽も評価が高いらしいが，わたしは残念ながらあまり聞かずに進めてしまった．……その理由が，日本語ボイスにおける声優のアレさ加減である
……いや，厳密には声優ではない．特にメインキャラクター9人は殆どが俳優で，まともな声は3人しか……

　感想
◎壁システムのおかげで「…兄貴ってのが…　どうして一番最初に生まれてくるか知ってるか…？」ってのを言葉でなく心で理解できる
◎戦闘がシビア．特に序盤のグリフォンとその次のワームが難敵で，そこからゆるやかに戦闘が簡単になる辺りが辛い．ただし，ゲームオーバーになってもリトライするかタイトルに戻るかの2択を選ばせてもらえる
◎ヒロインがデコでメガネっ娘，また幼女の服のデザインがいい具合にけしからんくて良いです　※ただしどちらも棒
◎「千年の夢」はきちんと小説してて読み応えがある

△状態異常が強く，強敵を打ち倒す快感を得やすい．……逆もまた然り
△意外と世界が狭い
△ボス戦において特殊ルール多すぎ．……たかだか無鉄砲なロリショタが一人や二人犠牲になったくらいで，勝手にゲームオーバーにしないでくれないかな．わたしはまだ戦える

×とにかく死人に頼りすぎなシナリオ．いちいち奇跡感を推してきてかなりイラつく．ついでにいくら記憶を奪われたとはいえ，1000年も生きておいてあまりにも行き当たりばったりすぎる不死者たち
×フィールドをAボタン連打しながら地形をなぞって調べるのがめんどくさい．当然のごとく実績に絡むし
×声．ロリショタはヤバイ
×リング合成の不要さ．「シーフ」「ハイシーフ」位で十分ってほどの魔法ゲー．しかし「魔法回避100％」みたいな，尖った敵も多い
×エイムリング成功したのに攻撃を回避されるのが釈然としない．エイムリング成功時は攻撃必中でよかったのに
×ロード多スギィ！

ロストオデッセイ Xbox 360 プラチナコレクション